絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
磯部さんとも私が一方的に社内で見かけるだけで、顔を合わせてはいない。

私のことを認めない、上杉さんは渡さないって言われても、なにも言い返せなかった。

きっと今同じことを言われても、またなにも言い返せないと思う。
上杉さんのことを本気で想っている磯部さんに、私はなにも言えないよ。

すっかり冷めてしまったパンケーキを口に運んでいると、真理愛は気遣うように言う。

「またなにかあったら、いつでも頼ってよ。話ならいくらでも聞いてあげるから」

「……ありがとう」

私の言葉を聞き、真理愛も残りのパンケーキを口に運んでいく。

入社当時は、真理愛のような存在ができるとは夢にも思わなかった。まだ出会って一ヵ月くらいだけど、なんでも話せるし、こうして休日に会うくらいの仲になるなんて……。

出会いはいつ、どんな風に起こるかわからないね。それは私と上杉さんにも当てはまるのかもしれない。

些細なことで関係が変わることもある。私と真理愛のように。

目の前で美味しそうにパンケーキを頬張る彼女を見る。
< 122 / 272 >

この作品をシェア

pagetop