絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
まじまじと眺めていると、後からリビングに入ってきたお母さんが上杉さんの元へ、一目散に駆け寄った。

「ごめんなさい、迎えに来ていただいたのにお待たせしてしまって」

「いいえ、僕が早く来てしまったのがいけないので、お気になさらないでください」

爽やかスマイルに、お母さんはノックダウン寸前。

慌てて私の元へ来ると、コソッと耳打ちしてきた。

「楽しんでいらっしゃい。……遅くなってもかまわないから」

「……っ」

耳を疑うことを言うお母さんを見ると、嬉しそうにニコニコしている。

なにを言っても無駄だと諦めた。

「帰る時に連絡するから」

「わかったわ、上杉さんに迷惑かけないようにね」

「……うん」

返事をすると、上杉さんがいつの間にか私の横に立っていた。

「麻衣子さんをお預かりします」

そう言うとスマートに私の腰に腕を回した。

「えっ!? ちょっと……!」

「行きましょう」

抗議する間もなく彼は歩き出した。

「いってらっしゃい」

リビングを出ると背後からお母さんの陽気な声が届く。
< 17 / 272 >

この作品をシェア

pagetop