絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
彼が離してくれたのは、玄関に着いた時だった。もちろん私はすぐさま抗議した。

「お母さんの前で、なんてことをしてくれたんですか!?」

怒りを鎮めながら小声で文句を言うと、上杉さんはのんびり靴を履きながら答えた。

「あぁすれば、仲が良いアピールになるだろ?」

「えぇ、それはもう!」

大迷惑なくらいに。

私もパンプスを履きながら彼に問うた。

「それに私とデートしたいだなんて、いったいどういうつもりなんですか? それもわざわざお父さんを通すなんて……」

断りたくても、断れなかったじゃない。――と心の中で唱えると、上杉さんは笑いながら言う。

「お父さんを通して申し込まれたら、断りたくても断れなかったって?」

「そ、それはっ……!」

図星をつかれ、途端に口籠る。

すると上杉さんは唇の端を吊り上げた。

「だから有坂社長を通したんだよ。……どうしても麻衣子を連れていきたいところがあったから」

ま、麻衣子って言った? 今!?
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