絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
だって山田さんがこの時間に買い物に行くことなんて、これまでなかったもの。私とお母さんがふたりでゆっくり話ができるよう、気遣ってくれたんだ。

深々と頭を下げて山田さんを見送り、家を見上げる。

大丈夫、ちゃんと伝えられる。お母さんだってわかってくれるはず。
そう自分に言い聞かせて門扉を潜り、鍵を使って家の中に入った。

数日帰ってきていないだけなのに、自分の家じゃない気がする。
バタンとドアが閉まる音に気づいたのか、リビングからこちらに向かってくる足音が耳に届く。

「あら、山田さんなにか忘れ物?」

声が聞こえてくるとリビングのドアが開いた。その先にいたのはお母さんで、私を見るなり驚き固まってしまった。

「麻衣子……」

名前を呼ばれ、身体中に緊張がはしる。

「あの……」

なにか言わないと。伝えたいことは、たくさんあるじゃない。それなのにいざ、お母さんを目の前にすると言葉が続かない。

玄関で立ち尽くしていると、お母さんは目を潤ませ私の方へ駆け寄ると、そして勢いそのままに抱きしめられた。

「え……お母さん?」
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