絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
「この前、麻衣子に言われて気づいたわ。私が心配しなくても、自分で考えて進んでいける歳になったんだって」

私もカップをテーブルの上に置き、お母さんの話に耳を傾けた。

「お母さん、昔から身体が弱かったでしょ? そのせいでほとんどおばあちゃんに麻衣子の子育てを任せてしまったことを、ずっと後悔していたの。だから麻衣子には幸せな結婚ができるよう、なんでもしたかったの」

私を見つめるお母さんの瞳が大きく揺れた。

「でもそんなの、余計なお節介だったわね。お母さんが思う麻衣子の幸せと、麻衣子が感じる幸せは違うのにね。……ごめんなさいね」

謝るお母さんに首を左右に振る。

「ううん、そんなことないよ? ……ちゃんとわかっているから。お母さんもお父さんも、私のことを考えてくれているって。だから上杉さんとのお見合いの話をしてくれたんでしょ?」

だからこそ私は断ることができなかった。

「最初はその……正直に言うと、お見合いなんてしたくなかった。でも今はしてよかったと思っているよ? そうでなかったら、本当の上杉さんを知ることができなかったから」
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