絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
だって私が悪かったから。自分の気持ちをちゃんと伝えなかった私が悪いのに……。

泣かせたくなんて、ないのに。どうしてうまく伝えることができないんだろう。

剥いただけの野菜を見つめ、茫然となる。だけど顔を洗いにいっただけなのに、なかなか戻ってこないお母さんに気づく。

「どうしたんだろう」

様子を見にいこうかと思ったけど、もしかしたら私に泣き顔を見られたくなくて、顔を洗いにいくと言ったのかも……と思うと足が止まる。

先に野菜の下準備を進めておこう。そう思い、出ていた野菜を切り刻んでいく。
だけどそれが終わっても、お母さんは戻ってこない。さすがに遅いよね。

廊下に出て洗面所へと向かう。

「お母さん……?」

洗面所の明かりは灯っているから、いるはずだけど水が流れる音が聞こえてこない。
近づいていくと、お母さんの苦しがる声が聞こえてきた。

「お母さん?」

駆け足で向かい洗面所の中に入ると、お母さんが胸元を押さえて倒れていた。

「お母さん!?」

すぐさまお母さんに駆け寄るものの、お母さんは苦しそうに胸を押さえるだけ。苦しくてなにも言えない様子で焦りを覚える。
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