絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
怖かった。洗面所で苦しんでいるお母さんを見て、もしいなくなっちゃったら……って思うと、怖くてたまらなかった。

私、本当に周りが見えていなすぎる。自分の気持ちを伝えたい一心で、お母さんの気持ちを考えようとしなかった。
倒れるほど悩ませていたんだよね? 心配かけていたんだよね?

『母親失格』そう言って謝るお母さんの言葉が、もし最後に聞いた言葉になっていたら……?
そう思うと怖くて涙が止まらなくなる。

おじいちゃん、おばあちゃんのように身近な人を失う悲しみは知っていたはずなのに。

お母さんが突然いなくなるなんてこと、あるわけないと思っていたのかもしれない。まだまだずっと元気でいてくれるって。

そんなことないのに……。こうして急に倒れることだってある。お母さんには持病があるのだから、その確率は高いのに。

立っていられなくなり、その場にしゃがみ込んでしまう。しばし泣いた後、お父さんに電話しないといけないことを思い出し、必死に涙を止めた。

泣いている場合じゃない。お父さんに連絡をして、それと山田さんも心配しているよね。

涙を拭ってまずはお父さんに電話をかけようとした時、電話がかかってきた。
< 223 / 272 >

この作品をシェア

pagetop