絶対俺の嫁にするから～御曹司のイジワルな溺愛包囲網～

「お母さんが倒れちゃったのは、理由をつけて家に帰ろうとせず、お母さんには連絡ひとつもしなかった私のせいです。もっと早く家に戻って、お母さんと話し合うべきだったのに……。そうすればお母さんだって……っ」

言葉が続かない。
上杉さんはなにも言わず、私に寄り添ってくれた。時折、優しく身体を擦りながら。

少しすると彼は、ポツリ、ポツリと話し出した。

「なぁ、麻衣子……誰だって、後悔と失敗を繰り返し、時には今の麻衣子のように悩み苦しみながら生きているんじゃないか？」

「……え？」

そう言うと上杉さんはなぜかポケットから名刺入れを手に取った。
そして彼が手にした一番後ろに入っていたものは、名刺ではなく写真だった。

「恥ずかしいんだけどこれ、俺の黒歴史」

黒歴史……？

言われるがまま彼が手にしている写真を覗き込むと、そこには高校の制服を着崩し、髪を金髪に染め、耳にはいくつものピアスをつけて友達と上杉さんが映っていた。

「え、これ上杉さんですか？」

面影があるし、彼だとは思うけど……今の姿とは違い過ぎていて確認してしまう。

写真と上杉さんを交互に見ると、彼は苦笑いした。