絶対俺の嫁にするから～御曹司のイジワルな溺愛包囲網～

これからはなんでも話していきたい。本音で話せる親子になりたいから。

返事をすると、お母さんは満足そうに頷いた。そしてなにかを思い出したように「フフフ」と笑う。

「それに安心したわ。岳人君ったら麻衣子とふたりっきりだと、あんなに甘いのね。お母さん、聞いていて恥ずかしくなっちゃったわ」

うっ……！　お母さん、それはこっちのセリフだよ。お母さんに上杉さんとのやり取りを聞かれていたかと思うと、本当に恥ずかしい。

居たたまれなくなっていると、お母さんは私の手を握る力を強めた。

「お父さんは何千人もの社員の生活を預かっているでしょ？　失敗は許されない、そういう仕事をしているお父さんを、お母さんは結婚してから今もずっと支えていきたいと思っているの。でもほら、お母さんこんなだから、私の方がお父さんに迷惑をかけてばかりだった」

初めて聞くお母さんのお父さんに対する思いに、耳を傾けた。

「麻衣子にも寂しい思いをさせてしまったわ。だからこそお母さんね、良き妻であり、良き母でありたいの。……その思いが強すぎて、結果的に麻衣子に辛い思いをさせて、お父さんにも頑張りすぎて体調を崩し、余計に迷惑をかけてばかりだったんだけどね」

一呼吸置き、お母さんは真っ直ぐ私を見つめた。