絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
彼女から受け取ってくれって……え、出張には磯部さん同行していないの?

『頼むな』

「え、あっ……」

立て込んでいるのか、一方的に言うと通話は切られてしまった。
足を止めて立ち尽くしてしまう。

どうしよう、まさか磯部さんは残っているなんて思わなかったし……。でも上杉さんと約束してしまった。

磯部さんにも話がいっているんだよね? 彼女から受け取ってくれって言っていたし。

それに同じ会社で働いているんだもの。いつまでも磯部さんと顔を合わせないわけにはいかないよね。

「……よし」

スマホをバッグにしまい、部長室へと急いだ。

ドアをノックすると、少しして開かれた。もちろんその先にいたのは磯部さん。
いつもと変わらず背筋がピンと伸びていて、カッコいい。

「あ、お疲れ様です」

「お疲れ様です。上杉部長から承っております。どうぞ」

「……失礼します」

淡々と言う彼女に促され室内に入ると、磯部さんはテーブルの上に置いてある封筒を私に差し出した。
< 259 / 272 >

この作品をシェア

pagetop