絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
一週間、共に過ごせば大体の性格は見えてくる。

石上君はなんていうか、ちょっと能天気というか鈍感というか……。さっきだって善意で私を呼んでくれただけだと思う。だったらここは素直にありがとうだよね。

「ごめん、なんでもない。……呼んでくれてありがとう」

小さく深呼吸をして改めてお礼を言うと、彼はご主人様に褒められた犬が喜ぶように、嬉しそうな顔になる。

「どういたしまして」

そして笑った彼につられて、私も頬が緩んだ。

「いよいよだな。希望通りお互い同じ部署に配属されるといいけど」

「そうだね」

並んで椅子に腰掛けると、急に石上君は頭を抱え込んだ。

「でも俺、自信ないんだよなー。やる気だけはあるんだけど……」

そう言ってため息を零す石上君は、私と同じ介護事業部を希望している。それもあって社内研修中からなにかと話をするようになった。

「それを言ったら私も自信ないよ? でも私はふたり一緒に配属されたらいいなって願っているよ?」

石上君と一緒に仕事ができたら、楽しそうだし。
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