絶対俺の嫁にするから～御曹司のイジワルな溺愛包囲網～
上杉さんは私を可愛いと言うけど、言われ慣れていない私は途端に身体中が熱くなり、つい大きな声を上げてしまった。

慌てて両手で口を塞ぐと、上杉さんは声を押し殺して笑っている。

これはまた完璧に上杉さんのペースになっている。

「もちろん慌てている麻衣子も可愛いよ」

そしてまた殺し文句を言う彼にぐうの音も出ない。

だめだ、一度落ち着こう。それに私は生半可な気持ちで上杉不動産に入社したわけではない。

咳払いをして冷静に伝えた。

「お言葉ですが上司が上杉さんだと知っても、内定を辞退したり、希望部署を変えたりしませんよ」

「えっ？」

意外だったのか、上杉さんはジッと私を見つめた。

「本当ですからね？　……学校で学んでから介護の世界の現状を知り、ずっとやりたかった仕事なんです。ですので会社では一部下としてご指導のほど、よろしくお願いします」

正直まだ彼が直属の上司だという事実に、頭が追いついていない。

でもそれは揺るがない事実であり、ここで働くと決めた以上、なにかと接する機会は多くなるはず。
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