絶対俺の嫁にするから～御曹司のイジワルな溺愛包囲網～

私との約束を忘れて、まずいことを言われたら……と構えていた自分が恥ずかしい。

受け取ると、書類は二部あった。

「あ、ひとつは石上に渡してくれ。……ちなみに下の書類がお前のだから」

「わかりました」

要件だけ済ませると、彼は名残惜しそうにする社員を残して、オフィスから出ていった。
すると一部始終を隣で見ていた絵里さんが、うっとり顔で言う。

「麻衣子ちゃんのおかげで上杉部長を間近で見ることができて、幸せだったよ。ありがとう」

「いえ、そんな……」

絵里さんも上杉さんのファンらしい。上杉さんとの関係を秘密にしているから、ちょっぴり複雑な気持ちになる。

すると急に絵里さんは「フフフ」と笑い出した。

「どうしたんですか？」

不思議に思い訊ねると、彼女はその理由を話してくれた。

「うん、上杉部長って本当に素敵な人だなーって思って」

しみじみと言いながら絵里さんは続ける。