絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
「せっかくの機会だ。岳人は麻衣子ちゃんとゆっくりしていきなさい。ちゃんと家までお送りするんだぞ」

え? おじさんってば、なにを言っているの!?

ギョッとする私とは違い、上杉さんは笑顔で答えた。

「わかってます。しっかりお送りしますのでご安心を」

両親に言うと、四人は上機嫌で「あとは若い者だけで楽しくやりなさい」なんて、お見合いの席での常套句を言いながら足早に個室から出ていった。

パタンと襖が閉められ、ふたりっきりの室内はシンと静まり返る。

嘘でしょ、なにこの展開は。ふたりっきりにさせられるなんて聞いてない!

立ち尽くしたまま茫然としていると、上杉さんはボソッと言った。

「とにかく座れば?」

「……っ」

やっぱりなにを考えているかわからない笑顔で言われ、顔が引きつる。

だけど彼の言う通り、私が立ったままでは話しもできない。

おずおずと腰を下ろすと、上杉さんは頬杖をついて私を見る。

「……なんですか?」

本当にこの人はなにを考えているの?
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