絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
「アハハッ。そうか、それはよかった」

なにがよかったのだろうか。理解できずにいると、ちょうどコース料理の前菜が運ばれてきた。

ハート型のモッツァレラチーズが可愛い、トマトのカプレーゼに視線が釘付けになる。
すると彼が得意気に言う。

「じいちゃんから麻衣子は可愛いものが好きだって聞いていたんだ。お気に召したようでよかったよ」

そうだったんだ……。悔しいけど、こういうさり気ない気遣いが嬉しかったりする。
それにハート型のチーズなんて、可愛すぎない?

「ありがとうございます。……いただきます」

ここは素直にお礼を言ってさっそく料理を口に運ぶと、トマトとモッツァレらチーズの相性が抜群によくて、口いっぱいに美味しさが広がる。

「美味いな、これ」

「はい」

本当に美味しくて、あっという間に完食してしまった。

空いた皿が運ばれていき、次の料理を待っていると、上杉さんは急に思い出したように「フッ」と笑った。
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