絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
「だけど麻衣子、安心しろ。麻衣子が自ら両親に俺と結婚したいって素直に言えるくらい、俺のことを好きにさせてみせるから」

彼らしいセリフに呆れながらも、気遣って言ってくれているのだと思うと頬が緩む。

普通はもっと突っ込んで聞いてくるものじゃない? どうして本音を言えないんだ? 言ったらいいじゃんって。

でも彼は違う。きっと私の気持ちを汲み取ってくれたんだよね。

彼につられるように冗談交じりに言った。

「そういう本音は両親に伝えたいと思っていませんから」

上杉さんを真似て言うと、彼は目を見開いた後クスリと笑った。

「そうか、それは残念。でもいつか絶対言わせてみせるからな?」

そしてまたそんなことを言う上杉さんに笑ってしまった。

しばし笑っていると、彼にジッと見つめられていることに気づく。

「なんですか?」

怪訝に思い訊ねると、上杉さんは目を細めた。

「麻衣子の笑った顔、可愛いなって思って」

「――え」

「だって麻衣子が俺の前で笑ったのは初めてだぞ? 可愛い笑顔を目に焼きつけておこうと思って」

「なっ……! バカじゃないですか!?」
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