イケメンエリート、はじめての純愛⁇
咲子は笑っているけれど、映司はそれがジョークなのか本気なのかも分からない。
だって、元皇族家の常識は、こういう場では着物なのかもしれないから。
「い、いや、紋付き袴はさすがの俺でも持ってないよ…
この恰好じゃダメ…かな?」
咲子は江戸時代の大奥にいるお姫様みたいに、凛とした立ち姿で微笑んでいる。
「冗談です。
でも、映司さんのはかま姿は見てみたい気がしますけど」
映司は心の底からホッとした。
咲子に関しては毎日が新たな発見で、そのせいで映司の寿命は縮んでいる気がしてならない。
「でも、咲子ちゃんは着物なんだ…
実家に帰るのに…?」
先を歩いていた咲子は、くるっと振り返って映司にガッツポーズをする。
「私の本気度を両親に分からってもらわないと!
着物を着て、三つ指ついて、映司さんとの結婚をお願いしますって。
私は負けませんからね」