イケメンエリート、はじめての純愛⁇
咲子の家に到着すると、初めてタロウ君が口を開いた。
「この門から入って行けますか?」
その立派な要塞のような門は、誰かの許可がないと中へは入れない。
映司は咲子の顔をチラッと見た。
「今開けますから、入って下さい。
そのまま直進でお願いしますね」
咲子はバッグの中からカードキーを出してセンサーでその門を開ける。
その重厚な門は、物音一つ立てずに静かに動き出した。
「あ、タロウさんでしたっけ?
タロウさんもよければ家まで入ってください。
運転手さん専用の応接ルームもございますし、何なら私達と母屋のリビングまで行っても構いませんが、どういたしますか?」
映司はわざとらしく大きい音を立てて咳払いをした。
有能なタロウ君は、きっと映司の思いを察してくれるはず。
案の定、タロウ君は笑みを浮かべて首を横に振った。
「僕は、その運転手さん専用の部屋で待たせてもらいます。
電話をする用事とかがありますので」