イケメンエリート、はじめての純愛⁇


映司は咲子に全てを一任する事に不安しかなかった。
でも、この家を訪れるのは、きっと今日のこの一回だけじゃない。

映司は先の事を見越して、今日はご両親の人柄を観察することに決めた。
今夜の流れは咲子に任せる事に決めた。
映司は腹をくくって、目の前に見えてきた立派な洋館の玄関に視線を合わせる。

咲子は一度立ち止まり、映司に目配せをした。
そして、その年季の入った重たそうな玄関ドアを力任せに開く。


「ただいま帰りました。咲子です」


四畳半ほどの広さのある玄関は、昭和初期のモダンな洋風の造りになっている。
でも、映司はそんな事にいちいち驚く器ではない。
だって、今の自分はこれ以上にないほどの贅沢な暮らしをしているから。

咲子の声を聞きつけたお手伝いの二人連れが、パタパタと咲子の前に現れた。
そして、予想通り、隣にいるイケメンを見て驚き慌て出す。


「さ、咲子様、この殿方様?」


殿方様…??

映司はハーフのイタリア寄りで育ったせいで、殿方様の意味を理解するのに数秒かかった。
でもその意味を理解すると、まるで自分の頭にちょんまげが付いているようで何だか急に可笑しくなる。





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