イケメンエリート、はじめての純愛⁇
映司はお饅頭を持って、EOC東京支社へ帰ってきた。
本当は午後から直接出向く場所があったのだけれど、何だかあの咲子様の雰囲気にのまれてしまい、仕事より今はぼんやりとしていたい。
「あれ、映司さん、この時間にここに居ていいんでしたっけ?」
全員のスケジュールを把握している明智君が、すぐに映司を見つけてそう聞いてきた。
映司は肩をすくめて笑顔を見せる。
そんな映司を見て、明智君は驚いたように目を丸くした。
「これ、お饅頭をもらったんだ。
せっかくもらったから、皆で食べようかと思って…」
そんな映司と明智君の会話を聞いていた謙人が自分のブースから顔を出した。
「お饅頭がどうしたって?」
映司は謙人の姿を見ると、面倒くさそうに目を細める。
「映司さん、今日、元皇族のお嬢様に会ってきたんですよ。
ソフィアからの個人的なお願いで」
明智君は映司の様子を窺いながら、謙人にそう答えた。
「あ、それ知ってるよ。
ソフィアからのグループボックスに入っていたデータのやつだろ?」
明智君はうんと頷く。