好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「そんなに焦らなくても」
「1日でも早く、夫婦になりたいんだ」
彼は、ソファに座り、私に横に座るようにソファを叩いた。
彼の隣に座ると、言いにくそうにビールを飲みながら語りだした。
「気づいてると思うけど、俺は婚外子だ。お袋は、親父の愛人で、生活費をもらって、いつくるかわからない男を待ちつづけ、壊れていった。俺が高校に入る時に、長年、酒に溺れていたせいで、体を壊して死んだ」
「それから一人で生きてきたの?」
「いや、そこで神崎の家に入ったが俺のいる場所じゃなかった。親父も、俺に興味もなく、兄弟もいたが、赤の他人と一緒だった。家を出たくても未成年の俺の保証人になる人もいない。だから俺は、夜の街に逃げたよ。そこで、慧に出会った。同じ高校だと知り、俺たちは意気投合し、いろいろと悪さや喧嘩をして警察に目をつけられていた」
「今の透さんから想像できない話だね」
「そうだな…今があるのは、慧の親父のおかげだな。あの人が、親父に話をつけて俺の保証人になってくれた。真っ当に生きることを条件に一人暮らしを認めてくれて、大学を卒業するまで世話になった。料理もあの人が教えてくれて、経営のノウハウも習った。だから、いまだにあの人には頭が上がらない」