好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「恋に臆病な男を好きになって、苦労するぞ。でも、もう、離してやれない。愛してる」
「私も、愛してる」
お互い、引き寄せられるようにキスをしていた。
翌日、お店が休みの透さんは、役所へ行って婚姻届けをもらってきて、先に慧さんのお父さんに報告に行ってきたらしい。
その時に、証人欄にサインと、お祝いの言葉ももらい、透さんは、感極まって泣いたそうだ。
その話は、後で詩織さんから聞くことになった。
そして私の仕事が終わる頃に迎えにきた透さんと一緒に家へと向かった。
緊張していたのはうちの父親だけで、母も妹も、イケメンな透さんと家族になれることに浮かれていた。
「お父さん、僕は婚外子です。愛情というものを知らずに生きてきました。ですが、愛梨さんと出会って彼女が僕に家族を作りたいと思わせてくれたんです。絶対とは言えません。ですが、彼女とお腹の子を僕に守らせてください」
頭を下げた透さんに、父は唇を震わせながらやっと声を発した。
「君はちゃんと愛されてるよ。娘を、頼みます」
父は、泣きながら、婚姻届けの証人欄に名前を書いて、『俺は寝る』と言ってふて寝しに奥へ行ってしまった。
「あなた達が来るちょっと前だったかしら?神崎さんのお父さんがご挨拶に来られたのよ」