好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「あの人が⁈」
「お父さんと少し話して、息子を頼みますって言って帰って行かれたわ」
予想外の話に、私もだけど透さんが一番驚いていた。
帰りの車中は、しばらくの沈黙で、何か考えている様子の彼に声をかけられなかった。
夜間受付の前まで来た時、透さんは、どこかに電話をしだした。
「俺…彼女の親に挨拶に行ったそうだな」
透さんのお父さんに電話だったらしく、私は、横で聞いていた。
『これでも一応お前の親だからな。向こうのご両親とは顔合わせぐらいはしておかないといけないだろう』
「仁さんも余計なことを…ありがとうなんて言わないからな」
『ふん、そんなことで電話してきたのか?』
「いや、今から愛梨と届けを出すって報告だ」
『…そうか。おめでとう…』
「あぁ…」
電話の内容では、まだお父さんとのわだかまりがとけていないらしいが、電話を切った彼は、どこかスッキリとした顔をしていた。
そして、私達は、晴れて夫婦になった。
お腹が大きくなり仕事を辞めた私は、彼のお店を手伝うようになると、ある事実が判明してくる。
朝は、お店を開ける前に1時間ほど、事務所に篭るのだ。