好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「まりえ…重い女より、物分かりのいいお前が好きだよ」
そう言って、鍵を持つ彼女にキスしたのだ。
はあっ、ふざけんな…
頭にきた私は、手に持っていた買い物袋を彼ら目掛けて投げつけた。
「…いてーな。お前、ふざけんなよ」
「ふざけてるのはどっちよ。私のこと好きだって…」
「チッ、わかんねーの。お前が重い女だって知ってたら付き合わなかったよ。もう、お前とは終わりだ」
肩を掴まれ、玄関の外に放り出される私。
バタンと勢いよく閉まるドアと同時に、ガチャンと鍵が閉まる音に、涙が溢れてきた。
どうして…?
一方的に別れを告げられ、何も考えられないまま雨が降り出したなか、どこをどう歩いたかもわからない。
滝のように降り出してきた酷い雨
それでも、どこかに雨宿りする考えもないまま、ふと立ち止まって雨に顔を打たれていた。
すると、傘を持った男性が走ってきて私に傘をさしてくれた。
「この雨で俺のお店のお客さん0なんだよね。止むまで何か温かい飲み物を飲みながら、俺の話相手になってくれないかな?」
見ず知らずの女の為に、差し伸べてくれた優しい男性と目が合った瞬間、新しい恋の予感を思わせるには十分過ぎる出会いだった。