好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「なに?」
こわっ…い、と肩を竦ませる。
「いえ、知らないようでしたら、また来ます」
「…奥の事務所、客来てるけど、ノックしてから向こうの返事待って入ったら⁈」
いい子じゃない…やはり好青年だ。
「ありがとうございます」
事務所に行こうとしたら
「ショック受けないといいけど」
なにがショックなのだろう?
首を傾げながら事務所前に来たら、中から物音がする。
そして、聞き耳を立てたら女の人の甘ったるい声が…
だが、すぐその後に
「お前の声じゃ、もう、その気になれないわ…」
「バカにして…そっちから誘ったくせに、役立たずなだけでしょ」
ガチャン、バンと目の前のドアが勢いよく開いたら、乱れた髪を直しながら女性が出てきて、こちらをキッと睨んでからドンと肩にぶつかって帰っていった。
事務所の中のソファには神崎さんが座っていて、前をはだけた黒シャツから、あの日に見た肌が露わに出ていた。
そして、ゆっくりとタバコに火をつけて、こちらに歩いて来た。
「どうした?」
「…あ、この間の食事代を支払いに来たんですけど、お店にいた子が、わからないから神崎さんに聞いて来てというので…(なんて言われてないけど)お邪魔してしまってすみません」