好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
つい数分前までの男の顔をしていた人とは別人のようだ。
どうも、彼は顔を使い分けて口調も変えているらしい…
爽やかな顔で笑みを浮かべている仕事用の顔の時の優しい口調。仕事から離れ、爽やかな顔の中に男の顔を見せる時の、俺様的な?上手く表現できないけど男らしい口調の時とギャップがある。
そのギャップを見せられると、普段以上にドキドキしているのだ。
ああ…、このドキドキはやっぱり恋だよね⁈
上手く隠さなきゃ、
重い女だって言われて、
関係を解消されてしまう。
それだけは、いやだ。
セフレでいいから彼の側にいたい…
そのうち、彼のただ一人のセフレになる。
変な決意をして、冷たい炭酸水をゴクリと飲んで渇いた喉を潤した。
奥の事務所からお店に出ると、新しく来店したカップルが1組だけいる。
カウンターの中で、爽やかな顔に笑顔を浮かべる神崎さんと、不機嫌そうに私を見る好青年風の彼の視線から、居た堪れなくて目を逸らした。
「愛梨ちゃん、座って」
空いているテーブル席ではなく、カウンター席を勧められ、戸惑いつつスツールに座った。
「ちょっと早いけど、ご飯にする?」
外は薄暗くなりつつあるので、さっさとご馳走になって、帰ろう。