好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

「はい、お願いします」

「待ってて、すぐに作ってくるから」

奥へ行ってしまった神崎さん。

残された私と好青年風の彼の間で、気まずさが流れている。

やっぱ、奥でのこと気がついているよね。

彼は「何か飲みます?」と一応という感じで、無愛想に聞いてきた。

炭酸水も残っているし、「大丈夫です」と答える。

そしてまた、気まずい沈黙。

アコースティック楽器の音を奏でる曲が、異常にうるさく聞こえるぐらい、他の音が聞こえない。

確かカップルがいたはずなのに…

どうやら、スピーカーがカウンターの上にあるようで、音がテーブル席に向けて流れている為に、1組ぐらいだと会話がこちらまで届かないようだ。

「あんた、オーナーの女だったんだ⁈」

セフレですけど、まぁ、女って言うのかな?

口に出して言わないで…笑って誤魔化す。

「なぁ、ついてる」

なにが?と、見える範囲を確かめるけど、なにもついていないと思う。

焦れたように「ここ」と、彼は自分の首を指す。

見てみるが、彼の首にはなにもついていない。

「なにもついてませんよ」

「バカ?…あんたのここだよ」

私の首に指を直接指して、触った。

「陸、お客さんに、なにしてるの?」
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