好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
化粧を落とし、浮かれたままお風呂へ行く足取りは軽く、顔中の筋肉が緩んでいる気がする。
幸い、そんな顔を誰にも見られなくてよかったが…
見られていたら、大変だ…
彼氏でもないセフレなのに、聞かれたら答えられない。
頭の中は、彼のことでいっぱいだ。
彼の許可なく、座ることのできないお店のカウンター席に、座ることを許されてる特別感…
その席で、メニューにない特製の大人様ランチを食べさせてもらう特別な出来事…
セフレと言いながら、独占欲を象徴するキスマークを首につけられて…
他人が触ったから消毒って…
これは、勘違いしていいレベルではないのか?
いやいや、深い意図はないのでは⁈
私だけじゃない…他のセフレにもしている気がする。
そう思うと、浮かれた気持ちが一気にしぼんでいき、湯船に浸かっていた体を屈め、顔ごとお湯に沈んだ。
勘違いするな…
彼は私に言ったじゃない。
『俺は恋愛に向かない男だ。恋するなよ』って。
恋してしまったけど、傷つきたくないから、これ以上深入りしないほうがいい。
一定の距離を保とう…
そうすれば、他のセフレの気配も気にならないはずだ。