好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
3章
オオカミは特別なセフレにご立腹
【フォルテシモ】を出てから、神崎さんはご機嫌が悪い。
お会計をして帰る時まで、いつもの彼だったのに、私、何かしたのかな?
話かける雰囲気じゃない重い空気の車内、運転する神崎さんはドアの窓枠に肘をついた手に頭を乗せて片手で運転している。
ご機嫌が悪くても、運転するする姿もかっこいい…
横目で盗み見ながら、眼福ににやけそうだ。
「なに、さっきからチラチラと見てきて、気になるんだけど?」
この感じ、慧さんとお話ししていた時の声のトーンと口調…多分、これが本来の素の姿なのかもしれない。
「いえ、どこに行くのかなぁと思っただけです」
窓から背景を眺めていたら、どんどん丘を登って行っているからだ。
「丘公園」
ただ一言。
相当、ご機嫌が悪そうだ。
「そうなんですか」
もう、余計なことは言わずに静かに座っていよう。
そして、丘公園の駐車場に入ると車がまだ何台か止まっているが、公園内の照明がゆっくりと消えていく。
公園内には、テニスコートに、バスケのコート、スケボーパークなどスポーツのできる場所がいくつかあるが、9時で閉館になるのだろう。
ちらちらと公園から駐車場に戻り出した人達の間をゆっくりと通り抜け、もう一段上の広場まで車を走らせる神崎さんは、何を考えているのだろう。