好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

彼からの思ってもいない言葉が、ショック過ぎて罵る事もできず、無心に泣いていた。

すると、ドアをノックする音と、男性の声

「大丈夫?サイズ合わなかった?」

「…あっ、いえ大丈夫です。ただ、濡れた服をどうし
ようかと思って」

鼻をすすりながら頬の涙を手で拭い、涙が流れないように気をしきしめる。

「あっ、気がつかなくごめん。今、ビニール袋持ってくるよ」

戻ってきた男性がドアをノックする。

「袋、ノブにかけておくね。温かい飲み物を用意するけど、何がいい?」

雨宿りさせてもらって、服まで借りてるのに、わざわざ私用に作ってもらうには恐縮する。

「…同じもので大丈夫です」

「カフェ・オ・レでいい?」

「はい」

「了解…じゃ、できる頃までに出ておいで」

もしかして泣いてるのバレてた⁈

深入りしない気遣いと、優しさが、じわっと心に響き、うるっとなる。

こんな男性もいるのだと…

大きなシャツとズボンの裾を捲り、『よし』わからない気合いを入れてトイレから出ると、コーヒーのいい香りが店中に香っている。

思わず、香りを吸い込んでしまう。

「丁度いいところで出てきたね。さぁ、座って」

男性がカウンターの中から、カフェ・オ・レをカウンターテーブルに置いた。
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