好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「なぁ、慧と付き合うのか?」
ボーとする頭には、理解できないワード…
慧さん?
付き合う?
まだ霞む頭の中を探し出し、あー、あの時かと思い出す。
レジで支払いをした神崎さんを見送りに出てきた、慧さんとお父様(フォルテシモのオーナー)と私との会話だ。
『君、透の彼女じゃないんだって…』
『はい、前にちょっとご迷惑をおかけして、今は神崎さんのお店のお客って仲です』
セフレですとは言えませんから…
『なら、うちの息子どう?いい男だけど、いまだに一人身なんだよ』
『そうなのよ。俺でよかったら付き合わない』
『おーお、そのまま付き合って結婚まで行くか』
というような内容だったけど、あれは、冗談だったはず…
「慧さん…とオーナー、の冗談でしたよ」
「冗談?あれは半分本気だ。絶対、あいつに連絡なんかするなよ。したら、お前なんて簡単に喰われちまうからな」
よく言う…私を簡単に召し上がったのは誰でしたか?
それに、さっきまで、召し上がってましたよ。
「まさか…慧さん女性に困ってないと思いますけど…」
彼はタバコを蒸してから、苛立ちげに灰皿で火を消した。
「そういう問題じゃない。目の前にご馳走があるのに食べないような奴じゃないんだよ」