好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

「なぁ、慧と付き合うのか?」

ボーとする頭には、理解できないワード…

慧さん?
付き合う?

まだ霞む頭の中を探し出し、あー、あの時かと思い出す。

レジで支払いをした神崎さんを見送りに出てきた、慧さんとお父様(フォルテシモのオーナー)と私との会話だ。

『君、透の彼女じゃないんだって…』

『はい、前にちょっとご迷惑をおかけして、今は神崎さんのお店のお客って仲です』

セフレですとは言えませんから…

『なら、うちの息子どう?いい男だけど、いまだに一人身なんだよ』

『そうなのよ。俺でよかったら付き合わない』

『おーお、そのまま付き合って結婚まで行くか』

というような内容だったけど、あれは、冗談だったはず…

「慧さん…とオーナー、の冗談でしたよ」

「冗談?あれは半分本気だ。絶対、あいつに連絡なんかするなよ。したら、お前なんて簡単に喰われちまうからな」

よく言う…私を簡単に召し上がったのは誰でしたか?
それに、さっきまで、召し上がってましたよ。

「まさか…慧さん女性に困ってないと思いますけど…」

彼はタバコを蒸してから、苛立ちげに灰皿で火を消した。

「そういう問題じゃない。目の前にご馳走があるのに食べないような奴じゃないんだよ」
< 41 / 105 >

この作品をシェア

pagetop