好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「あいつ、フルボッコにしてやる」
「もう少ししたら、ここに来るんじゃないかな⁈」
「呼んだの?」
「まさか…ショートメールで愛梨ちゃんと一緒に飲んでるって送っただけ」
「来ないと思いますけど」
所詮、セフレの一人だったもん。
「ほら、噂をしたら、凄い顔できたよ」
「愛梨…帰るぞ」
慧さんは笑っていて、詩織さんは驚き顔で、私はというと、訳もわからないまま、腕を掴まれてその場から強引に連れ出されていた。
腕を掴まれたまま、駅構内の通路を通り抜け、[lodge]の前にある駐車場まで、一言も喋ってはくれない。
「乗って」
助手席のドアを開けて、強い口調で言われる。助手席に座ったら、彼は私が逃げないようにシートベルトをかけた。
5分ほど走らせた車が、タワーマンションの地下駐車場に入って行き、車を止めた彼は、ハンドルに頭をぶつけて大きなため息を吐いた後、こちらを向いた。
「頼むから逃げないで、話を聞いてほしい。流石に同じ日にまた逃げられたら、お前のことめちゃくちゃにしそうだ」
「朝、気がついてたんですか?」
「バックミラー越しに」
「…そうだったんですね」