好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
私が気を使うと思ってそう言ってくれてるとわかるのは、作るのに約15分もあれば作れると私は知っていたからで、彼の気持ちをありがたく受け取った。
「ありがとうございます」
私の笑顔に、彼も微笑んで見つめ返してきた。
一瞬の沈黙
お互いの視線が絡み、目が逸らせないでいるのは向こうも同じようだった。
そして、どちらからともなく動いた。
私は、目の前のフォンダンショコラを食べる為に…
彼は…
ふと、見ると普通にコーヒーを飲んでいた。
私が見ていることに気がついた彼は
「さっき、気分が変わったんだ」
と、笑みを浮かべる。
きっと、これも違うんだろうな…
フォンダンショコラを食べていると、ジッと見られている気がした。
「なんですか?」
「いや、美味しそうに食べてくれるから、つい見惚れてた」
「だって、美味しいんですもん」
「なら、よかったよ」
私の頭を撫でる彼の爽やかな笑顔に救われた気がした。
その時には、もう、泣いていたことも忘れて約束通り彼の話相手になって、自分やバイトの子達の失敗談で、私を笑わせてくれた彼のおかげで、お店を出るときには、私は笑顔を浮かべることができたのだ。