好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
2人掛けの食卓に用意されていた朝食
ほうれん草を巻いた卵焼き
鮭の焼き物
ほうれん草と人参の白和え
普段、母まかせの私としては、朝からこれだけの品を作れる彼を尊敬してしまう。
「透さんってお料理上手ですよね。どうしたら、こんなに朝から作れるんですか?」
「…母親が何もできない人だったから、自然と覚えたな」
「毎日作ってたんですか?」
「生きていく為に仕方なく」
なぜだが寂しそうに笑う彼に、これ以上、踏み込んではいけない気がした。
「今日は、愛梨に食べさせたかったから頑張った」
「私にですか?」
「ふらふらで仕事なんていったら、詩織に怒られるだろ」
意味深に話をふる彼に、頬を膨らませたら、お味噌汁とご飯をテーブルに並べて、透さんが向かい合わせで座った。
「…詩織さんとお知り合いだったんですね」
「あそこ2人とは、高校からの腐れ縁ってやつだな。あいつ、怒るとうるさいんだよ。まさか、詩織と愛梨が知り合いだっただなんて…世間って狭いな」
「聞いて、ほんとびっくりしました」
少し興奮した私を見ていた彼は、クスリと笑い、「時間なくなるぞ」と食事を勧めたので、手を合わせ「いただきます」と言って箸を進めた。
「…ちゃんとして育てられたんだな」
「なんですか?」
「いや…なんでもない。で、詩織とはどこで知り合ったんだ?」
「同じ職場なんです。昨日は、元気がない私を心配して話を聞いてくれてたんです。そしたら、透さんが現れて驚きました」
「俺も驚いたよ。慧から連絡がきて2人で一緒に呑んでるって連絡にね…」