好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

「脅したつもりはないんですけど…ただ、あのオーナーが、誰にも座らせないカウンター席に座らせる特別な子って言った愛梨さんに、皆さん興味深々なんだと言いたかっただけなんです…すみません」

シュンとしてしまう奏多くん。

彼なりに、店内の雰囲気を伝えたかっただけなのだろう。

「気をつかってくれたのに、こっちこそごめんなさい」

「いえ…」

「奏多、愛梨に気安く話しかけるなって言わなかった?」

「すみません」

キッチンから出てきた透さんの声に、奏多くんは『心狭くないですか?』と、ボソッと私に呟いて、カウンターの反対の出口から逃げるようテーブル席へ行ってしまった。

「お待たせ…」

プレートに乗ったライスの横に、タルタルソースのかかったチキン南蛮と葉物野菜のサラダ、デザートにヨーグルトムース

「ありがとうございます。うわー美味しそう…」

いつものようにカウンターに頬杖をついた透さんに、促されて手を合わせる。

「いただきます」

一口目は、真っ先にお肉を選び、タルタルをたっぷりつけて口の中に。

うわぁ、めちゃくちゃ美味しい。

「どう?」

「美味しいです。もう、神崎さんのご飯以外、食べれなくなっちゃいそう」
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