好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「可愛いこと言うね…でも、もう、俺の方こそ離してあげれないって、わかってるのかな?」
勘違いしそうなセリフと、眼差しにドキドキする。
でも、『恋をするな』って言われた言葉が引っかかり『本気になるな』と自分自身に警告してしまう。
散々、好きだと言わされたけど、透さんからの愛の言葉はないのだから…
重い女には絶対ならないと決めた私。
彼がこの関係に飽きるまで、側にいれればそれでいい。
だけど、今だけは
「離さないでね」
「離さないよ」
いつか来る別れまで…
透さんのご飯をいただいている間に、1組、2組とお客さんが帰っていく際、必ず、彼女らは私をチラッと見てから、透さんを見つめている。
その視線に、このひとたらしの透さんは、にこりと爽やかに笑い、「また、きてね」と罪なことを言う。
「はい、また来ます」
と、元気よくいい、頬を染めて帰っていくのだ。
「私が通うせいでお客さん減るってことないよね」
「どうして愛梨のせいになるんだ?」
「だって、ほら、さっき…」
自分から特別な子だからとは言えないので、口籠る。
「あぁ…、こんな商売は、浮き沈みが激しいんだ。あれぐらいで客が減るってなるなら、この店に魅力がないってことさ」