好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
オオカミの誤算
透さんに言われた通り、仕事帰りには[lodge]に顔を出すようになった。
今日も、いつも座るカウンターの席で、彼が作ってくれるご飯を食べて、食後に、今日はカフェ・オ・レを頼んだ。
すると、彼は、ハートがいっぱい繋がったカフェ・オ・レをくれた。
「透さん…これ?」
「んっ⁈…冷めちゃうよ」
爽やかに笑ってごまかされた気がした。
「透さん、ごちそうさま」
支払いにレジではなく、わざわざ透さんのいる私の横まで来た女性は、彼を馴れ馴れしく名前で呼んだ。
「上条さん、今日もありがとうございます」
「嫌だ、真理恵って呼んでって言ったじゃない」
コーヒーカップを持つ手を止めて、聞き耳を立ててしまう。
「いえ、お客様を下のお名前でお呼びするわけには…」
「あら、こちらのお嬢さんは、名前で呼んでらっしゃるでしょ。私も呼んでほしいわ。あなたと私の仲じゃありませんか?」
なに?
その匂わせ?
私以外のセフレとは、関係を解消したんじゃないの?
新しいセフレ?
そう考えると、顔が強張っていく。
「上条さん、あなたはお客様でしかありませんよ。ですが、この子は、私の特別な子です。なので、この子が勘違いするような言葉はやめて下さいね」