好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

詩織さんに連れて行かれたお店は、以前も行ったことのある[コンフォルト]だった。

奥のボックス席に座り少しお酒を飲みだして、唐突に

「透と何があったの?」

「ど、どうして透さんが出てくるんですか?」

「愛梨のカラ元気の原因は、あいつ以外ないでしょ!」

そう言い切られ返す言葉も出てこないでいる。

「新しい女でも、出てきた?」

「…婚約者です」

「婚約者⁈あいつに?あの男…婚約者がいながら愛梨を弄んだの?許せないわね」

綺麗な顔が鬼の形相になっていく詩織さんは、怒りで割り箸をバキッと半分に折っていた。

「弄ばれてはないです。最初に、釘刺されてましたから…それに、彼も婚約者の存在は知らなかったようですし…驚いてたんじゃないんですかね」

「勝手に決められてた婚約者ってこと?それで、愛梨は、あいつの電話も拒否して会いにも行かないの?」

あれ?
どうして、そこまでわかるんだろ?
すごいな…

「婚約者って聞いてショックだったんですよね。あなたは、愛人にしかなれないのよって聞かされて…その時に、あっ、元彼を返してあげるから、そっちと寄りを戻したらっても言われました」

「はあっ?元彼ってあいつでしょ!愛梨が振られる原因になった女が、透の婚約者ってことなの?」
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