好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
クスクスと、思い出して笑う男性につられて、こちらもつい笑ってしまった。
「なに、笑ってるんですか?」
自分のことを言われていると薄々気がついたらしいチャラそうな彼は、口を尖らせている。
その表情に、女子高生達が色めき立っているのだが…
彼女らは、私が何者なのか知りたい様子で、聞き耳を立てているらしく、店内に流れるアコースティック楽器が奏でる曲がひときわ弾いていた。
「いや、お前が、ラテアートに挑戦したいって言って作った熊、ぷっ…あっ、いや、」
「あー、それ以上言わないでください。どうせ俺は絵の才能がないんです」
首を垂れて落ち込むそぶりに、『かわいい』と女子高生が騒ぎだす。
本人は無自覚らしいが、見た目のギャップと違う仕草が女子高生に人気なのだと聞いた話を思い出し、納得する。
確かに、女心をくすぐる要素を持っている。
「まぁ、落ち込むな。そんなこいつでも君らはファンを辞めないよね⁈」
「もちろん。奏多くんのファンはやめないよ。だから絵が下手でも気にしないで」
励まされているのか、けなされているのかわからない複雑な表情で苦笑いして、お皿を片付けに奥へ行った。
すると、また「かわいい」とか「大好き」とか歓声があがる。