好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
しばらくの沈黙の後に、デコピンが飛んできた。
「痛い」
「馬鹿女…特別な女だって何度も言ってるのに、まだセフレ気分でいたのか⁈好きだって言わせれたら、結婚してやるって言ったプロポーズは無視か?」
「えっ、あれプロポーズだったの?」
呆れた顔でおでこに手を当てため息をついた透さんの肩を揺すった。
「じゃなきゃ、ここの鍵なんて渡すか」
「えっえー。わかんないよ。ちゃんと言ってくれないと、伝わらない」
不器用すぎる愛情表情に、嬉しながら唇を尖らせてしまう。
透さんの耳が赤くなり、目を逸らして照れてる姿は、初めて見る光景で、夢ではないのだろうか?と疑いたくなる。
彼の頬をつねってみた。
「…なにしてる?」
「私の妄想が、夢にでもなって見てるのかと思って、痛くない?」
「痛い。ほら、お前の頬もつねってやる」
「地味に痛いんだけど」
「よかったな…夢でも妄想でもなくて」
「私、透さんのお嫁さんになっていいの?」
「好きだって言わせれたらって言ってる」
「好きって言って」
「簡単に言えるか」
「私には、言わせるのに、ずるくない」
「そんなずるい大人を好きになったのは愛梨だろ」
「そうだけど」
どうしたら、言ってくれるのだろう?