【短編】1冊のノートに彼の言葉
初めての経験だった。
楽しみがあると頑張れるって
言葉はよく耳にするけれど
経験した事はなかった。
でも私がいくら頑張ったって
現実はそう甘くはない。
美姫「光海さん。今日も残業
お願いしてもいいかな?」
光海「...うん。」
他人の仕事も私の仕事。
ここで美姫さんの申し出を
断れば明日からの私の
立ち位置はなくなってしまう。
現実は上手い事出来ているんだ。
目立つ人間、可愛がられる人間
容姿のいい人間、好かれる人間は
当たり前のように誰もが
微笑み助け、守ってくれる。
だけど、目立たない人間
可愛げのない人間、地味な人間
好かれない人間には
当たり前のように誰もが罵倒し
助けず、守ってくれない。
私は後者だから、もちろん
誰も守ってくれない。
私の残業時間が例え所定を
超えていたとしても
見て見ぬ振りをし、一言の
言葉で片付ける。
光海さんは真面目だねって。