【短編】1冊のノートに彼の言葉

そう言って電話口から聞こえる
お母さんの声を遮った。

晴也「はぁ。ごめん、光海。」

光海「ううん。お母さんと
話せて良かったよ。
また今度会わせてね!」

晴也「光海がそう言ってくれて
良かったよ。」

...でも、結局私がお母さんと
会う事はなかった。

それは、残暑が厳しい秋の事だった。
10月がもう終わろうとしている
時期にも関わらずクーラーが
手放せないほど暑い日の事だった。

晴也の家で眠っていた私は
その暑さのせいで目が覚めた。
時刻は午前1時。

外の夜風を浴びようと私は
マンションを出た。
残暑が厳しいとはいえ
夜になるとひんやりとした
風が吹き抜ける。
とても気持ちのいい夜だった。
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