【短編】1冊のノートに彼の言葉
大通りの横断歩道を渡ろうとした時
いつも手首に着けていた
彼から貰ったブレスレットが
バラバラと散らばった。
私は道路である事も忘れ
夢中になってそれを拾っていた。
怖くなったんだ。幸せすぎたから。
このブレスレットがなくなれば
夢から冷めてしまうような気がして
別れが訪れるような気がして
怖くて、全部拾い集めなきゃって
我を忘れてしまったんだ。
私が現実に戻った瞬間
大きな2つの光が見えた。
目の前から大型トラックが
やってきて何度も何度も
クラクションを鳴らしてた。
逃げなきゃ!そう思うのに
驚いた私は立ち上がる事が出来なくて
そっと目を瞑った。
そしたら、私の事を追いかけてきた
晴也が私を突き飛ばし
次に目を開いた時には
そこは血の海だった。
震える手で119番し
けたたましい音の救急車が
やってくるとすぐに晴也は
病院へと運ばれた。