【短編】1冊のノートに彼の言葉
温かいものは冷めない内に。
それが作ってくれた人への
最低限のマナーだと思う。
なのに、ここにいる人達は
運ばれてきた料理には目もくれず
会話に夢中だった。
晴也「俺も入れてくれない?」
光海「え?」
晴也「空きっ腹に酒入れると
すぐ酔うから一緒に食べようよ。」
やっぱり彼はチャラかったけど
この場において空気のような存在の
私にも気を遣える人間だった。
光海「どうぞ。」
お皿に盛り付けた料理を見た
彼は私に笑顔を向けた。
晴也「盛り付け上手だな。
店で出すやつみたい。」
光海「お褒めいただき
ありがとうございます。」