【短編】1冊のノートに彼の言葉

私の元へ戻ってきてほしいなんて
言わない。だって、私は
彼がいなくなってからの7年間。
辛かった事も悲しかった事も
苦しかった事も泣いた事も
全部全部、大切な時間だったと
思えるから。彼と過ごした4ヶ月より
彼を想って泣いた時間の方が多いのに
今でもあの頃の幸せは私の右手に
しっかりと握られたままだ。

美姫「今日の帰り、お祝いしようよ。」

光海「いいよ。旦那さんと子供
家で待ってるんでしょ?」

美姫「何言ってるの!
友達の誕生日くらい祝わせてよ。
旦那にはちゃんと言ってある。」

光海「ありがとう、美姫。
でも今日はごめん。
晴也のお母さんと会う約束があるんだ。」

美姫「そっか。晴也のお母さんも
光海の誕生日、お祝いしたいと
思ってくれてるのかもしれないね。」

光海「そうだといいね。」

仕事を終えた私が待ち合わせ場所へ
行くと晴也のお母さんはもう既に
待ってくれていた。
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