【短編】1冊のノートに彼の言葉

光海「私も昨日の事のように
思い出します。」

晴也母「それでね、光海ちゃん。
晴也の事なんだけど、あの子が
いなくなって7年が経つでしょ?
どうかしら?もうそろそろ
光海ちゃんもあの子の事は
忘れて幸せになってくれないかしら?
私は、あなたの事が心配なのよ。」

光海「ご心配ありがとうございます。
でも、私は幸せなんです。
晴也がいなくなってしまった辛さに
比べれば、どんな事も辛くありません。
晴也の温もりを感じられなく
なってしまった悲しみに比べれば
どんな事も悲しくありません。
晴也との思い出。最後に残してくれた
晴也の言葉。晴也の存在が私の隣には
あるから、消えるまでは
ずっと幸せなんです。
強がりではなく本当に、どこかで
晴也が生きている。そう思えるからこそ
私は今生きていられるんです。」

お母さんはほんの少し涙を浮かべ
カバンから1冊のノートを取り出した。
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