【短編】1冊のノートに彼の言葉

人は人を傷付ける事に慣れているから。
褒め言葉だと思って言った言葉で
相手が傷付いたとしても
やっぱり言った側の人間は
いい事をしたと思うものだから。

相手を敬い、相手の立場になれる
彼の事をいい人だと思った。

光海「私も戸惑ったんです。」

晴也「何に戸惑ったの?」

光海「綺麗ってあなたが言ってくれた。
好きってあなたが言ってくれた。
どんな意味の言葉でも初めて
人に褒められたから、どうしていいのか
分からなくてあなたから逃げたんです。」

晴也「光海さんっていい人だね。」

光海「あなたの方こそ。」

晴也「俺の?どこが?
俺は外面がいいだけだよ。」

光海「それでも、あなたは
人に不快な思いをさせないから。」

彼が笑ってくれたから
私も微笑み返した。
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