恋愛零度。

やってきたのは、最近人気があるという室内遊園地だった。

「わあ、なにここ」

中心には大きなメリーゴーランド。そのまわりを囲うようにして、絶叫マシンやコースターやお化け屋敷など、様々なアトラクションが集まっている。

なんだかごちゃごちゃしていて、人の声や音楽が騒がしくて、私は落ち着かなかった。

「唯川さん、室内遊園地初めて?」

三好さんに訊かれて、私は苦笑いをする。

「室内どころか、屋外も行ったことないよ」

「ええっ、子どものときとか行かなかった?」

「うちの親、そういう場所嫌いだったから」

「じゃあ、学校の遠足とかは?」

「そういうときは、なぜか絶対熱出して休んでたんだよね」

「ああ、いたなあ、そういう子」

三好さんがけらけらと笑う。

「でも、今日は熱出なくてよかったよね」

さりげない一言が嬉しくて、私は「うん」と頷いた。


< 101 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop