恋愛零度。



昨日のことーー

『真白ちゃん、ちょっといい?』

学校で、由良くんに呼ばれて、少しだけ2人で話した。

『蒼はお化け屋敷系苦手だから、入ってみるとおもしろいと思うよ』

とイタズラっぽく遊佐くんは言った。

『絶対あいつ、真白ちゃんが言えば断らないから』

『そ、そうなの?』

『好きな女の子に、ビビってるとことか知られたくないでしょ』

『それ、意地悪じゃない?』

『全然、意地悪じゃないって。ね、絶対おススメするからさ』

『はあ……』

よくわからなかったけど、いちおう誘ってみる、ということに。

あとさ、と由良くんは続けた。

『真白ちゃん、あいつ本気だから、真剣に考えてやってよ』

私はそれには答えられなかったけれど。

『由良くんは?』

『ん?』

『三好さんのこと、どう思う?』

余計なお世話かもしれないけれど、訊いてみた。

『素直でかわいいと思うよ』

由良くんはにっこり笑って、そう言った。

やっぱりいまいちつかみ所のない人だけど、悪い人ではないのかもしれない、と少しだけ思った。
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