恋愛零度。



「じゃあまた学校でー」

「ばいばーい」

駅の改札口で手を振って、逆方向の三好さんたちと別れた。

「楽しそうだったね、あの2人」

「だなー」

日が暮れる少し前。

たくさん遊んだ。あっという間だった。

「真白は楽しかった?」

桐生くんが言って、

「うん」

と私は頷く。

「遊園地があんなに楽しいところだなんて、知らなかった」

なにかを楽しむために列に並んだことなんて、生まれて初めてだった。

それは決して無駄なことなんかじゃなかった。

「たまには無駄なことがあってもいいんじゃないかな」

と桐生くんは言った。

「ていうか、これから、もっともっと楽しもう。真白が行きたいと思う場所なら、どこにでも行くから」

淡いオレンジ色の光に照らされたその顔は、すごく眩しくて、私は思わず目を奪われた。
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