恋愛零度。
*
「じゃあまた学校でー」
「ばいばーい」
駅の改札口で手を振って、逆方向の三好さんたちと別れた。
「楽しそうだったね、あの2人」
「だなー」
日が暮れる少し前。
たくさん遊んだ。あっという間だった。
「真白は楽しかった?」
桐生くんが言って、
「うん」
と私は頷く。
「遊園地があんなに楽しいところだなんて、知らなかった」
なにかを楽しむために列に並んだことなんて、生まれて初めてだった。
それは決して無駄なことなんかじゃなかった。
「たまには無駄なことがあってもいいんじゃないかな」
と桐生くんは言った。
「ていうか、これから、もっともっと楽しもう。真白が行きたいと思う場所なら、どこにでも行くから」
淡いオレンジ色の光に照らされたその顔は、すごく眩しくて、私は思わず目を奪われた。